スピリット・オヴ・サマー

「…まあ、大体は、」
 長い会話だった様な、その反面、余りにもあっけなく終わっていたようにも思う。4桁のパスワードで膨大な情報を引き出し合っていた気分であった。
「『狐に化かされた』って顔だなや。」
 そう言って「千佳子」は笑った。そして、ふうっと一息ついて「千佳子」は続けた。
「過去は過去、認めたくない自分と、認めようとする自分。おらぁ、あんだの心ん中の、『認めようとする自分』の代弁者なんだヨねェ。」