スピリット・オヴ・サマー

 憲治は苦痛に涙を滲ませた。
「…当然だ。自分の心ん中、その中の『自分』をひっぱたいた。キシむべ、胸の奥。」
 うずくまる憲治を見下ろしながら、「千佳子」は冷たく言い放った。
「何でだ…!」
 激痛の余波にむせながら憲治はうめいた。
「全部知ってんだろ!なのに、わざとそんなことほじくり返して…、」
 そして「千佳子」を見上げた。
「お前、何者だよ、何が望みなんだよ!」