スピリット・オヴ・サマー

 その様子に聖菜が息を呑む。そして、優しい微笑みとともに、聖菜は見えない「風」に感謝の言葉を零した。
「本当に、ありがとう、憧子ちゃん。」
 風がもう一度捲いた。そしてそれは、北中の校舎を目指して拭き抜けていった。
 憲治と聖菜は風の行った先の校舎と、その上に広がる、高度を増した本当の蒼空を見上げた。
 「中学最後」の夏休みが、今、終わる。

「スピリット・オヴ・サマー」完