スピリット・オヴ・サマー

 聖菜の、涙で潤んだ瞳が哀しげに憲治を睨み付ける。
「聖菜…、」
「自惚れないで、ください…。あの頃の私たち、誰も本当のことが言えなかったって、そう言ったのは先輩です。自分だけ、分かったような事を言って、弱さを認めて赦されようなんて、哀しいじゃないですか…。」
 再び聖菜の頬を濡らす涙が、憲治を黙らせた。
「私だって、罪人です。先輩を恨む気持ち、弱い気持ちにつけ込まれて、何か得体の知れないモノに長い間、惟いも、姿も利用されていたんです。そして、挙げ句先輩を殺そうとした…。私、憧子ちゃんに教えられました。」