スピリット・オヴ・サマー

「千佳子は、俺が聖菜とつきあってることで安心してた。千佳子は俺に友達でいてほしかったんだってさ。恋人よりも近い友達、だったんだと。俺は。」
　そして、憲治は土曜日に千佳子から聞いた話を、聞いたまま、そして、起こったこともすべて話した。公園の丘の東屋でキスしたことも、すべて。
「…そう、だったんですか…。千佳子先輩、ずっと気にしてたんだ…。」
「全部、俺の弱さのせいだ。俺があの頃、もっと強かったら…。」
「自惚れないでください。」
　聖菜のきつめの言葉に、憲治ははっとして顔を上げた。