とは言え、もとより聖菜を連れ出そうとしていたのも事実だった。急きょ近くのDIYセンターで、聖菜にかぶらせるためのヘルメットを調達してきたのだから。
「すみません。バイト休んでくれたのに、こんなところに来てもらって。」
 店先の、例のスチール椅子に腰掛け、ラムネのビンを両手で包んだまま、聖菜は、ぺこん、と頭を下げた。
 この店に着いたとき、椅子を店のひさしの奥に引き込んで、「自販機の陰に座りましょう」と聖菜が言ったのは、彼女なりの気使いだった。