「私、先輩と一緒に帰るから、お父さんもお母さんも、…ね。」
憲治の視線が気になったのか、聖菜は急かすように両親を促す。娘の目配せに気づいた聖菜の母親が、いつ迄もその場から動こうとしない父親のシャツの袖を引いた。やがて聖菜の両親は何度も何度も憲治に頭を下げながら、廊下の向こうに去っていった。
「お母さんは、心配じゃないのかねぇ。」
去り行く聖菜の両親の様子を見送った後、病室のドアにもたれかかって憲治がつぶやいた。聖菜が、「うれしそうに」応える。
憲治の視線が気になったのか、聖菜は急かすように両親を促す。娘の目配せに気づいた聖菜の母親が、いつ迄もその場から動こうとしない父親のシャツの袖を引いた。やがて聖菜の両親は何度も何度も憲治に頭を下げながら、廊下の向こうに去っていった。
「お母さんは、心配じゃないのかねぇ。」
去り行く聖菜の両親の様子を見送った後、病室のドアにもたれかかって憲治がつぶやいた。聖菜が、「うれしそうに」応える。



