遠く頭上から微かな轟音が近づいてくる。ふと、見上げる憲治。はるか成層圏の彼方に輝く銀翼があった。
「ごおおおおん。」
 くぐもったジェットエンジンの唸りをまねる憲治。ぼんやりとつぶやく。
「ボーイング777、ダッシュ200。」
 腰に下げた小型の望遠鏡を手に取り、覗く。丸い枠の向こうに、幾分寸詰まり気味の胴体を持つ飛行機が見えた。憲治はその翼に左右一対づつぶら下がったジェットエンジンを見、あたり、と言って、ニヤリと笑った。