シャッターの降りた件の小さな店の軒先。自販機の明かりと、街灯に照らされたベンチ代わりの丸いスチール椅子に腰掛ける憲治と憧子。
「…そうか。そうだよな。安心したよ。」
 憲治は憧子が今まで通りの姿で「生きていた」事に、心底安心した。だが、安堵する憲治とは裏腹に憧子の表情が曇る。
 その様子に気づいた憲治が憧子の顔を覗き込むと、憧子の俯いた美しい横顔から涙が一粒、こぼれ落ちた。
「憧子…、どうしたんだよ。」
 胸騒ぎがする。
「…ごめんなさい…、」