少女の顔を確かめるより前に、憲治は飛び起きた。そして、小動物の素早さで後ずさると、
「すいませんでしたっ!」
と土下座した。
 もしや、自分は気を失っていたのではなくて、動転したまま彼女を強姦してしまったのではないか。憲治はそんな不安に駈られ、反射的に誤ってしまったのだ。
 そうでなかったとしても、「膝枕」など母親以外にしてもらったことなどない憲治のこと、自分より八つも年下の美少女(しかも、一瞬ではあれ襲ってしまいそうになった)の膝に顔を埋めていたなどと言う事態に、どう反応することもできなかっただろうが。