スピリット・オヴ・サマー

 だが、心なしか浅黒く感じるその肌とそばかす、そして眼鏡の奥から覗くその瞳の大きさは、間違いなく「聖菜」、であった。たぶん勤め先の制服であろうが、白い半袖ブラウスにスカートと揃いのベスト、エンジのネクタイ、というどことなく学生風の出で立ちもあいまって、聖菜はことさらに幼く見え、憲治を更に「おびえさせた」。
「あ、ああ、どおも…。」
 すでに憲治の心は遙か彼方に走り去っていた。抜け殻のカラダが背を丸めて卑屈な会釈をした。夜でないことを恨む。顔が、見えすぎている。
「先輩、お久しぶりです。お元気そうで、」