憲治の顔が憧子の小さな胸に押し付けられた。息を呑む憲治。
 動けない。いや、動きたくない。
「今は見えねぇがも知れねぇども、憲治さんはこれからでも『夢』、見つけられる。」
 優しい憧子の声。
「憲治さんはこの学校で『千佳子の夢』を見た。『聖菜の夢』を見た。それから、『飛行機の夢』も。ぜんぶ夢。だども、夢は覚めるだけじゃねェ。現実の中で押しつぶされて、それでも自分であり続けようとする自分。哀しいまでに自分でしかない自分。それが夢。」