スピリット・オヴ・サマー

 夏の陽射しをかき分けながら、力強く上昇していく異形の翼。やがてそれは自らの力を失うが、その後は風が彼方へと運んで行く。そして、グラウンドの端を超えると、空に紛れてカタチを、存在を無くした。
「あれ?消えた。」
 額に手を翳(かざ)し、飛行機の影を探す憲治。
「ああ、当然だァ、学校の外ではおらの霊的フィールド外だがらなァ。」
「ふーん。」
 いつまでも飛行機の消えた彼方を見つめている憲治を後目に、憧子は立ち上がってスカートのおしりをを手で払った。