「理論的には間違ってなかったんだな…。」
 片目を閉じ、全翼機を四方八方から眺める憲治。「少年」憲治。
 その顔は熟練した技術者のそれでもあり、しかし、ただの子供にも見えた。
「んだ、このカタチは翼面積が広いんで、動力が切れた後の滞空時間は通常の形式より長いはずなんだァ。ただ、翼がおっきい分、調節がエラくシビアになる。飛ぶも飛ばねぇも、ミリ単位の調節次第だったんだァ。」
 憧子の解説にうなずく憲治。