白のブラウスに紺のフレアスカート。西陽のせいか、「少女」の体は金色に輝いて見えた。ついさっきまでプールにいたはずなのに、その黒髪はさらさらと風に揺れ、光の粒子を蒔いている。
 憲治の胸が高鳴る。
「何事だよ…。」
 その言葉は、今この瞬間の状況に対してでもあり、又、憲治自らの動揺に対してでもあった。「少女」は憲治の胸中を察したかのように、俯き加減の上目で見つめながら、口元に静かな満足を浮かべる。そして黒髪をひるがえすと教室の中に消えていった。