「…。」
 千佳子の返答がないことで、憲治は自分がいつのまにかしゃべりすぎていたことに気づいた。
「…あ、ごめん、俺なりの考えだ。調子に乗って、しゃべりすぎたか、な?」
 千佳子は少しの間、呆気にとられていたが、すぐににっこりと笑った。
「ううん、私、感心しちゃった。さっきの話もそうだけど、憲治君、そんなことまで考えるようになったんだ。哲学者みたいだなぁ。」
「哲学者と変わり者は紙一重、だ。相変わらず役に立たないことばかり覚えてるよ。」