スピリット・オヴ・サマー

「夢、かな?俺に会わなくちゃならないって、思ってたんだろ?暑い最中でぼーっしてたところに、そんな想いが重なって、そう、千佳子は自分の夢に案内されてたんだ、多分。」
「…はぁ。」
「ヒトは何時も、『こうありたい』という自分と、『こうとしか生きられない』という自分の間を行ったり来たりしながら生きてる。『こうありたい』と言う自分を、理想論だと葬り去ることのほうがたやすいから、ヒトは自分の中に『日常外の自分』を囲い、押さえつけながら生きているんだ。そいつは時々現れる。色々な姿で。そのままの姿だったり、回りくどい暗示だったり。それが夢だ。そしてそれは、眠っているときでなくても、精神の、ちょっとしたエアポケットの中でも顔を出すものなんだよ。きっと…。」