「何か、トゲのある言い方だな。」
　昨日は「憧子」に会ってない。どうでもいいことの割には、妙に安心している憲治がいた。
「でね、校舎の中に入れてもらったんだ。そしたら、中を案内しますって、髪の長い女の子がいたの。」
「？っ、」
　憲治は驚いて千佳子を見た。
「奇麗な子だったけど、何だか不思議な感じのする子だったなぁ…。」
　「憧子」は千佳子と会っていたのか、と憲治は直感した。
　そうこうしているうちに駅に着いた二人は、待合室のベンチに腰掛け列車を待つ。