「…ま、そーゆー奴と結婚しようって女も、相当な変わり者だな。」
「だからなのよ。」
 相変わらずの微笑みはそのままに、千佳子は俯いた。
「誰にも言えなかったの。言われちゃうに決まってる、『止めたほうがいい』って。そうかも知れないけど、私は彼が好き…、」
と言ってチラリと憲治を見る千佳子。そして「憲治君と、同じくらい…」。
 憲治は千佳子を見る。目が、合った。
「このこと、親にも、友達にも話してないの。憲治君に、最初に話したくて…。だから…、」