憲治はふと顔を上げた。千佳子は俯いている。心なしか、カップを持つ手が小刻みに震えている。そう見えた。顔を上げてほしい。憲治は願った。さっきまでの微笑みをもう一度、と。しかし、それは叶わなかった。
「手紙、読んだわ。」
消え入りそうな千佳子の声。何も言わない憲治。
「でも、本当は、ずっと前から知ってたの。憲治君が私のこと、ずっと…、」
ずっと、の先を今になって聞くのが絶えられない。憲治はその先をさえぎる。
「残酷なんだな。」
「手紙、読んだわ。」
消え入りそうな千佳子の声。何も言わない憲治。
「でも、本当は、ずっと前から知ってたの。憲治君が私のこと、ずっと…、」
ずっと、の先を今になって聞くのが絶えられない。憲治はその先をさえぎる。
「残酷なんだな。」



