土曜日。
 明け方のにわか雨のせいか、今日は昼間の暑さが妙にあっけなく感じられる。特に午前中の過ごしやすさは段違いで、午前10時のプール開場時などは、子供達の数も数えるほどであった。
 加えて今日は土曜日で、プールは午前中のみの開放と言うこともあって、憲治はいつに増して気合いが入らない。いつものように空を見れば、これもまた、いつになく蒼さが高度を増したようにも思え、この北の地の、夏の残り短いことを思い知らせているようだった。淋しさが込み上げ、憲治は空を見上げることを止めた。