「惜しかったのか、な…?」
 憲治は何時しか机に突っ伏した。イヤホーンの奥から流れ来る「ドビッシー」が、憲治を更に深く眠らせていった。

 にわかに夜の風が、生温い湿気を運んで来る。
 やがて、雨が、降り始めた。

第3章「Moonlight Lover」終