「まったく…、」
 「憧子」は頬を涙で濡らしたまま、あの優しい微笑みを浮かべた。そして、声を震わせたまま
「やっぱり、憲治さんは憲治さんだァ…。中途半端で、なぁ、憲治さん…」。
 そう言って憲治の頭に頬擦りした。
「…すまん。ありがとう…。」
 「二人」は月光の中、時間を凍結させた。

第4節に続く