スピリット・オヴ・サマー

 やがて「二人」の唇が、名残惜しそうに、静かに離れた。
「…、は、あ…、」
 「憧子」のため息。長いキスの後、余韻が「二人」の間で淀んでいた。「憧子」の頬が涙で濡れている。
「…ごめん…。」
 憲治は「憧子」の首筋に顔を押しつけたまま、静かに詫びた。
「…謝んないで…、おらぁ、今以上に惨めになりだくねェ…。」
 俯いた「憧子」。まつげの先に光の粒が踊る。
「おら、モノとしては失格だァ…。生身のヒトに、おらぁ…、惚れでしまったァ…、」