スピリット・オヴ・サマー

憲治はもう一方の手で「憧子」の頬に触れ、そっと、自分の方を向かせた。
「…す、好きだ、よ…。」
 軽く吃った後、憲治は「憧子」の柔らかな唇に、自分の唇を重ねた。
 瞬間の官能。
 「憧子」は胸に触れている憲治の手の上に、自分の手を重ねる。
 とくん、とくん。
 鼓動。
 憲治には、それが自分のなのか、「憧子」と言うヒトならぬモノのそれなのか、まったく区別が付かなくなっていた。