現実ならざる光景に我を失った憲治の姿に、「少女」は少し、笑った。
「来てけだがァ…。ありゃ?何とした?ぼわーっと口開いでェ…。」
 首を傾げて微笑む「少女」。その出で立ちは、何時も通りのブラウスと紺のスカートでしかなかった。だが、憲治の目には月光の白装束が焼き付いてしまった。
「おらの名前、考えで来たが?」
 そっと寄り添い、顔をのぞき込む「少女」。憲治は我に返った。