彼のいるテントの反対側、プールをはさんだ向こう岸に少女はいた。どういう訳か距離がある割には、少女の顔がはっきり見える。少女は憲治を見つけた。
 目が、合った。
 憲治は息を呑んだ。美しい。
 「美少女」などと言う俗語ではたどり着かない深み、「神秘的」とでも言おうか。
 多分、長く水に入っていたためだろう、白く滑らかな肌は幾分血の気が失せた感もあり、しかしその白さと濡れて光る分、ひどく艶かしかった。