「やめれ。ソレはもう、『聖菜』の心でもなんでもねェ。」
 「聖菜」を再び抱きしめようとした憲治の肩を、「少女」はそっとつかんだ。
「『聖菜』は惟いを遂げで、もう消えでしまったなだ。『力』も消えだがら、おらの体も元通りに再構成されで、この教室にも出入りできる。」
 そして、床に転がる「聖菜」のカタチをした、動かぬモノを見やって言った。
「そごさあるソレはあんだの罪の意識が造り出した幻だ。『聖菜』は、あんだを赦したんだァ。」