「いいんだよ、つれていってくれよ、あの世でもどこでも。お前と一緒にいられるんだろ、そこなら?今の俺、何も、生きていても何もないんだ。お前に『先輩、先輩』ってつきまとわれてた頃のほうが、ずっと幸せだったよ。だから、つれていけよっ!」
 落ち着き無く身体を揺らしながら、虚言(ウワゴト)を垂れる憲治。突如、くわっと目を見開くと、「聖菜」の上体を抱き寄せ、もの言わぬ「聖菜」の顔を見つめた。そして、
「…おとぎ話みたいにさぁ、俺がキスしたら、きっとお前…、目を、覚まして…、」