「…『聖菜』…?」
 憲治はそれでもまだ、何が起こったのか分からずにいた。
 冷たくなった「聖菜」のカラダ。ブラウスの前をはだけた、まだ子供の胸はすでに波打つことを止めている。少し日に焼けた感じの、そばかすのある童顔はロウの様に白くなっている。その顔は、命の通わぬ美しさで飾られている。
 だが口元の微笑みは限りなく優しく、悔いも、怒りも消え去っていた。
「…なあ、『聖菜』、どうしたんだよぉ…。」
 憲治は「聖菜」の頬に触れた。