スピリット・オヴ・サマー

「だがら、何だって言うなだ(何が言いたいのよ)!」
 「少女」の生の声が聞こえる。感情の昂ぶりが伝わってくる、緊迫した、ただの少女の叫びだった。
「だがら、おらぁ、もう憲治さんに会うの止めようと…、」
「でも出来なかったんでしょう。あなたも先輩のこと、好きになったんだ。先輩が気づかなかったら、これからもずっと会うつもりだったんだ。先輩がある夜突然、ぽっくりと死んでしまうまで、ね。」
 「聖菜」は少し笑った。「魔」の部分が少し顔を出した。「少女」は今一度、「聖菜」を睨み付けると、再び「音にならない言葉」を発した。