スピリット・オヴ・サマー

「うるさいっ!」
 「少女」の言葉に、「聖菜」は怒りをあらわにした。
「先輩は私だけのものよ!この思いを先輩に伝えるために、私の心は『夢魔』の力を借りて生き存(ながら)えてきた。邪魔なんかさせない…。先輩と一緒に逝くんだ…。」
 泣きながら憲治の肩をつかむ「聖菜」。その顔に浮かぶのは、愛するものを奪われまいとする「一途」だった。
 生命の危険に晒されていると言うのに、憲治は恐怖することが出来なくなった。