「『あの子』に謝らなくちゃならないんだ!」
 がらっ!
 「第2音楽室」のドアは勢い良く開いた。と、憲治は足下の床が前に傾いた気がして、よろけながら第2音楽室の中へ入っていった。
「ととっ?」
 憲治が教室の中ほどまで来ると、背後でドアが閉まった。だが、憲治は何も気にしていなかった。よろけた自分の腕を、後ろから引き止めた手があったからだ。「少女」はまだ自分の傍にいる。彼女がいれば何も恐れはしない。そのはずだった。

第3節に続く