「はぁ…。」
自室となった空き部屋に入って、ため息が疲れを表しているかのように深く出た。
部屋割りの話で、あたしが「部屋がないならリビングで寝る」と言い張ったら、最終的に一人の部屋をもらえた。
あたし以外にも海翔と悠真が一人部屋で、梨月と馨くんが二人で一部屋を使うことになった。
ちょっと我儘だったかなって思うけど、男の子と同じ部屋なんて緊張しちゃって無理!
飛鳥だったら大丈夫なんだけど。
これから先への不安を抱えつつ、あたしは届いている荷物を片付けていく。
どれくらい時間かかるんだろう。
沢山の段ボールの山に、またため息が出た。
そのとき、コンコンッとノックをする音がした。
「にゃっほ〜♪」
返事もしていないのに、梨月がひょっこり部屋のなかに入ってきて可愛らしい笑顔をあたしに向ける。
「どうしたの?」
「ん?お手伝いしよっかなーって!」
なんか…可愛い弟くんができたみたいでちょっと嬉しいかも。
にこにことした表情をあたしに向けている。
やっぱり美形だもんだから、その姿も映える。
「大丈夫だよっ!ありがとう。梨月も自分の片付けがあるんじゃないの?」
「俺達はルナちゃんより早く着いてるからもう終わってるから大丈夫だよ〜」
あたしの隣にやってきて目を輝かせてる。
その姿は主人に忠実なワンコ。
母性本能が擽られる。
なっ…撫でたい。
そーっと伸びる手が視界に入って我にかえる。
その行き場のない手を不思議そうに見る梨月。
誤魔化そうと手の先になにかないかを探す。
な……、ないっ!
どうしよう…。

![注意:彼の彼女は変態です。[短]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.777/img/book/genre1.png)