あたしの親はなにかと勝手。
そのうえラブラブだから娘のあたしはむちゃくちゃ困るわけ。
今までにあたしになにも言わずに旅行に行ったことなんて何回もある。
まぁお土産買ってくれるからまだ許せるんだけど…。
なーんて、甘いこと考えてたあたしがバカだった。
「ルナちゃーんっ!」
ルンルンなんて音がピッタリなんじゃないかってくらいの笑顔であたしの隣に座るママ。
ここは楽園じゃなくてリビングだよって言いたくなるのはあたしだけ?
「ママどーしたの?」
少し呆れながらもなんだかんだかわいく感じて答えてしまう。
あたし…マザコンなのかな。
「ちょっと聞いて!ママね〜海外でしばらく仕事することになったの♪」
「海外!?まぁママの腕ならあり得るか…」
ママは、デザイナーで腕がすごい。
だから海外からのオファーはよくきてたけど、行くなんてはじめて。
「でしょ〜!だからりゅーちゃんと行くの♪」
りゅーちゃんってのは、パパのことで本当は龍一郎って言うんだけど、いまだにラブラブなお二人さんは付き合ってたときのあだ名そのまんま。
本当、むかつくけどうらやましい。
「いってらっしゃーい。あっ、お土産忘れないでね」
「わかってるって!それでねもうママ行かなきゃいけないんだけど…」
日曜日の朝早くから、おつかれさまです。
「あのね〜ママの仕事、今回はいつもよりおっきいから長引くの。」
あたしの道はこの後のママの言葉で変わったんだ。