365日~太陽と恋した日々~

実力はアイツラのほうが上だった。
悔しかった。そして、羨ましいと思った。

「春人くんは自由にサッカーできていいと思うわ」
オレが…自由に?
「呼び捨てでいいよ」
「あ、うん」
亜恋が思ってることがだんだん分かってきた。
そうか、亜恋も…。
「なあ、亜恋」
「なあに?」
亜恋が振り向くと、ショートカットの髪がふわっと揺れる。
「サッカーができなかったり、学校に行けなかったりして、悔しいとかさ、羨ましいと  か…。思ったりしないのか?」
オレがそう言うと、彼女は考えるように目を伏せた。

「そうだね…。思っちゃったりするかな」
ゆっくり目を開けると言葉を続けた。
「ずっと入院してるとね、周りの物がすごくきらきらして見えるの。
 手を伸ばしても届かない星みたいにね」
亜恋は落ちてきた桜をつまむと、手のひらにのせた。
「こんな風に落ちてはこないの」
彼女はふぅ、と手のひらの上の桜に息を吹きかけると、桜は飛んでいってしまった。
「…ね?」

亜恋は笑顔がたえなかった。
だけど、何かを諦めたような、そんな感じがした。

「病気が治ったらさ、一緒に学校にいこう!」
諦めるな。
「そして、サッカーするんだ。この、広場で!」
そんな意味だった。
「え…、それって?」
びゅう、と風が吹く。
桜が目の前を舞っていく。

「約束だ」

顔がなんだか熱い。
熱でもあるのか…?

「そうだね…約束だよ、春人!」


この時、2つの約束をした。
子供じみた約束だったけど、今も忘れてなんかいない。

たとえ、果たせなかったとしても。