*彪said

正直、俺が教師になるだなんて思ってなかった。
このことを高校生の時の俺が知ったら一体俺はどんな言葉をかえしてくるのだろう?

自分が初めて受け持つクラスを目指しながらそんなことを考えていた。

俺のことだ「ありえねぇええええ!」とでも叫んでくるのだろう。

俺、体育の教師になりたかったんだけどな。
どこで道を間違えたのだろう。
多分・・・最初からだ。

教室がある階へ続く階段を上りながらそう思う。

俺の母親はやべぇくらいの運動音痴だ。
本当に何もできない。

この話に何の関係があるのか?それは今から分かる。
その母親の運動音痴が見事俺だけに遺伝して
運動は好きだけど、逆上がりと水泳ができない少年になってしまったのだ。
あの母から生まれてきたことが間違いだったというわけ。

ま、それは言い過ぎか。

とりあえず、晴れて教師になれたんだ!
精一杯クラスの奴らと楽しく過ごそうじゃないか!

そんなことを思い思いっきり教室のドアを開く。

生徒の楽しげな声で賑わう教室。
まず初めに「みんな若ぇな」なんて思った俺はオッサンということか。

とにかく、教卓のところに行こうとした俺の目にある生徒が映る。

『どこか悪い?』

制服について聞いている生徒。
確かに背は高いが、どう見たってそいつは女の子で・・・

俺は思わず

「まず制服が男ものってのがわるいだろ」

とツッコミを入れた。