ていうか・・・

『先生の名前って≪たけし≫って読むんじゃないんだな』

思わずﾎﾞｿｯと呟いてしまった。
するとﾋﾟｷｯという効果音と共に固まる先生。

やべ、聞こえた？
とか思ってしまうがこんなのもう遅い。
ま、そりゃ一番前の真ん中の席に座ってるから聞こえるわな。

「ほ～、すまねぇな≪たけし≫じゃなくて」

さっきより１ｵｸﾀｰﾌﾞくらい低い声。
あーぁ、やっちまったな。って目でｸﾗｽのみんなも見てくる。

先生、ｺﾝﾌﾟﾚｯｸｽだったんだね；
うん・・・・ごめんねさい。
素直に心の中で謝罪をしたんだけど、

「俺はなぁ、そんな格好いい名前してねぇよ！みんなにからかわれる可愛い名前だよ！」
　
ｺﾝﾌﾟﾚｯｸｽをえぐられた先生は冷静さを失っていて、少し目に涙まで溜まめていた。

「そんなことないよ、先生！」
「良い名前だよ！ね？」
「今時、そういう名前の男子たくせんいるって！」
「先生っ！田沼だってそんな名前だよ！・・・なぁ、田沼？」
「あ・・・そうだよっ！先生！俺だって暁音≪あかね≫だよ！仲間だ！」

必死にｸﾗｽのみんなが言う。
まるで子供を泣きやませる大人みたいなだな。
なんて、思わず僕は笑ってしまった。

何笑ってんのよ？っていう目で恵里に見られたけど気にしない。
だって、先生が可愛いんだ。

正直に言おう、僕は先生が気に入った。

顔も可愛いし・・・
少ししか話をしていないけど、この短時間でここまで生徒と仲良くできるってのは先生の人柄が良いことを表していて、

なんていうか・・・
自分の気持ちがうまく表せないんだけど、
簡単に言えば『先生って女の子みたい！』ってことかな？((え？

「・・・うん、すまん。なんか気持ちが荒ぶった。」
「いいよー、悪いのは我等がﾌﾟﾘﾝｽだし。」
「え？何？櫻場ってﾌﾟﾘﾝｽなんて呼ばれてんの？」
「そーだよー、って先生は知らなかったかぁ」
「女の子大好きなんだよぉｗそして紳士！」
「え？まじで？何？男に興味無い系？」

人が回想してる間に何変なこと先生に言ってくれてんだこんちくしょう←
みんなが変なことを口走る前にどうにか話題を変えたい俺は必死で考えを巡らせてみる。