―orange―

cacaoとは、今あたしと亜貴でハマり中のシンガーソングライター。

いい歌ばっかりなんだよ。

そして今日はcacaoの新曲の発売日。

それを亜貴は忘れやがった。

「亜貴、サイッテー。そんなんじゃ舞ちゃんも愛想尽かしちゃうよっ」

「それとこれとは関係ねー」

舞ちゃんこと、岡崎 舞は亜貴の彼女。

フワフワしてて、可愛くて、あたしには遠い存在。

「亜貴が舞ちゃんみたいに可愛い子と付き合えたのって奇跡だよねー」

「なんでだよ」

「ヒューヒュー♪顔赤いぞ♥」

「うるせーよ!」

一度、舞ちゃんにあたしたちの仲を疑われたんだ。

だって親友だから、ずっとくっついてたんだもん。疑われるのも当たり前だよね。

だけどあたし、ズババーンと言ってやったよ、『こんな男と付き合うわけないじゃん』って。

確かに、亜貴はかっこよくて、イケメンだけど、好きとか、そういう目では見れないな。