†誰も知らない彼の顔†



『あぁ、いいよ。おかわりはイイの?ん?俺は…庵(イオリ)。』


「あ、はい。お水ご馳走様です。庵さん?…ココって庵さんの
 お家ですか?」


『ん、そうそう。俺の家。ごめん、君に了解得ずに連れ込んじゃ
 って。。。』


とんでもない!!私こそスイマセン!!あぁ、って私自己紹介すらしてない。
心の中で謝っても意味無いし!!…


「あの、私…佐伯 夏帆(サエキ カホ)って言います。ご迷惑おかけ
 しました。」


『迷惑なんて思ってないからゆっくりしていきなよ。ね?
 夏帆ちゃん。終電も、もうないし。』


終電?って今何時!?…って!!もう終電ないし。。。
はぁ~。ついて無い一日だったなぁ~。


「あの、私。帰ります…お世話になりました。」

って言って立ち上がろうとしたら足元がふらついて体が
突然、力が抜けたかのように崩れ落ちていく感覚が走った。


やばい!!転ぶ…っと思った瞬間、私は大きな手に支えられ
ていた。というより抱きしめられていた。。。


え?…。


『大丈夫?夏帆ちゃん。もう、終電もないし今日は泊まって 
 いきなよ。』


もぅ、恥ずかしくて頷くしか出来なかった。
そんな私を余所に彼は…

『ん、いい子イイ子w』


とか、言いながら再び私をソファに寝かせいた。


突然の温かな胸に抱きしめられたと思ったらまた
遠ざかっていく。。。


…寂しい。1人は嫌。


驚いた顔をした彼は…


『どうしたの!?夏帆ちゃん??』

へぇ?何が?…焦った彼と何が何だかわからない私。


突然彼の手が私の頬に触れ水滴を拭っていた。

…え?何で、私泣いているの?


あぁ、まだ涙が残っていたんだ。


それよりも今はこの温かな手に触れられていたかった。

「っん。…手、、、気持ちイイ。。。」

彼の手が気持ち良かったのがいけないんだ。と言ったら
言い訳にしか聞こえないかもしれないけど、今の私には
この気持ちの良い手に声を上げずにはいられなかった。


彼は困ったように笑っていた。そして、、、

「そんな事、男の前で言っちゃダメ。」

って私に言った。