†誰も知らない彼の顔†

―…夜の世界は人を惑わせては虜にする。。。
店内は以外にも落ち着いていて、少しホッとした。


バーってもっと爆音が響いているモノだと思っていた。
けど、実際は15メートル程先のステージでのピアノ演奏
以外の音は店内からは聞こえなかった。


だけど、今度は静かすぎて緊張してきた。
私は急いでカウンターに近づき腰を下ろした。


カウンターにはダンディーなバーテンダーのおじさんが
グラスを磨いていた。私がカウンターに座るとおじさんは
グラスを拭き終えたのか、、、


”ご注文は？”と尋ねてきた。
でも、私は普段お酒を飲まないからお酒の種類も全くと
言ってイイ程知らなかった。


迷った末、私が導き出したのは、、、

「ぉ…おススメってありますか？」

おじさんはニッコリ笑って”畏まりました。”
っていうと何か後ろの棚からいくつかのお酒を
選んで、銀色の容器にそれぞれのお酒を
少しずつ注いでいた。


…ん～一応、カクテルらしいことは分かった。


でも、やっぱり種類までは分からなかった。
最後におじさんが銀色の容器にグレープフルーツジュース
をいれた事以外はその容器に何が入ってるのかは
私にはわからない。


あっという間に出来上がったカクテルはピンク色を
した綺麗なカクテルだった。

「わぁ～、綺麗な色!!」

「スプモーニと言います。ちなみにアルコール度数は
　8度以下の弱いモノがイイかと思いましてこちらに致しました。」


おじさんはしばらくその”スプモーニ”っていうカクテルについて
話をしてくれた。スプモーニっていうのは、、、


ベースのカンパリの故郷、イタリア生まれのカクテル。
”スプモーニ”って、イタリア語で“泡を立てる”の意味で、
カンパリ独特の苦味とほのかな甘みがあってグレープフルーツ
のさわやかな酸味をトニックウォーターで割ることにで、
爽快な飲み口のカクテルに仕上がっているらしい。
サーモンピンクの色合いも可愛いから女の人にとても人気の
あるカクテルなんだって。