†誰も知らない彼の顔†


不思議な人だって何度も思った。それ以上に温かな人。
一緒にいると落ち着くし、癒される。

…私は時々相談して美味しいカフェオレを飲むただの客。
だけど、そんなマスターとの客と店主の関係が心地良かった。
だから…私はどんなに彼、いや違う元彼と喧嘩しても
絶対にこの人だけは好きにならないって決めていた。


この場所だけは失いたくないから。。。



―…カフェオレを飲んだ後に落ち着いた私にマスターは

「これ、新メニューにしようと思ってるんだけど、良かったら
 味見してみて?」

こういう時、私の意識をほかに移すのが上手いマスターには
助かってる。いつまでも落ち込んでちゃダメだよね!?
でも、今だけは甘えさせて。

「わぁ~、ありがとう!!これ、リンゴ?」

「そう!!リンゴとカスタードのポットパイ、気に入って
 くれると良いけど」

マスターが作ったんだから美味しくない訳がない。
にしても、見た目まで可愛い何て流石はマスター。

リンゴを丸ごと一個使ったそのポットパイは
リンゴの上の方を切り、(丁度、上の部分が蓋みたいになってる)
中をくり抜いて
更にくり抜いたリンゴを細かく四角く切り
再びくり抜かれたリンゴの中にカスタードと一緒に
入れオーブンで焼き上げたものらしい。

「す、凄い!!マスター天才!!てか、甘くて美味しい!!」

「っはは、リンゴとカスタードの相性がイイだけだよ。」

って言いながらはにかむマスターは料理上手だ。
私も見習わなくちゃといつも感心してはいるけど、
ありきたりなものしか作れない。マニュアル通りは
大体、作れるけど応用がきかない。。。

…とても、残念な子。