「・・・」


蛇に睨まれた蛙みたいに私は何も言えなくなり動けなくなった。



レンはホンキで怒っていた。


私の肩を掴んだ手を離して…レンは歩き出す。



それも壁を手で伝って…フラ付く足取りで・・・


ダンスなんて到底出来ない身体なのに…レンはそれでもスタジオに戻っていく。


確かに私は芸能界なんてどんな場所か知らない。


レンの置かれてる立場だって何も知らなかった。



今日まではーー・・・


今まで…私の見ていたレンはブラウン管の中と舞台の姿だけ・・・


素顔のレンなんて見たコトなかった。