「森下先生…。」


わたしが小さく声をかける。


「あ、綾ちゃんどうしたの?」


あ、ちゃん付けと思ったのは置いていて、


「あのね、今日の数学分かんなかったから教えて欲しいんですけど…」


「あ、いいよ。じゃあそこ座って。」


と先生はいい、自分の椅子を引っ張ってきてわたしの向かい側に座った。


「どこが分からないの?」


「ん…分かんない。」


先生はフッと笑って、
「じゃあ1番からね。」


と優しく言ってくれた。


それがとても心地よかった。