暫くの沈黙の後、権之助は静かに口を開いた。
「お前は昔の俺に似ている……」
「え?」
その声は、微かに震えていた。
「俺も、昔は無鉄砲で、無茶な行動をするのがかっこいいとか思ってた……陰陽寮にスカウトされて陰陽師になっちゃった俺マジかっこいいとか思ってた……人間とか信じない俺かっこいいとか思ってた……先公とかマジ糞とか思ってた……中二病だったんだ」
「水沢……」
「お前、今も患ってるぞ」とその場の全員が言いたかったが、我慢した。
「今思い出すだけでも恥ずかしい……お前を見てると昔の俺を思い出して、イライラして……」
「だから、俺に冷たく当たった……?」
「それは謝る……だが、それだけじゃない……お前は全くの素人だ。そんな奴に本当にハラウンジャーが務まるのか、無駄死にするだけじゃないかと思った」
「中二病患ってるしね……」
敏江の言葉に頷く権之助。
無鉄砲系の中二病は、確かに危ないのかもしれない。
真剣な表情で話す権之助を見て、迅は笑って言った。
「じゃあ、俺にいろいろ教えてよ」
「……は?」
迅の目は、真っ直ぐ権之助を見ている。
「中二病の治し方、戦闘のし方……聞きたいこといっぱいあるんだよ」
「お前……」
「俺、素人だけど頑張るよ。せっかく選ばれし戦士になったんだ。かっこ悪いのは嫌だから……無駄死にしたくないし」
良い話だと思いながらも、他の三人は「そいつにだけは教わるな」と心の中で叫んでいた。
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