心霊戦隊ハラウンジャー


権之助が叫び、迅に駆け寄ろうとするのを、敏江が静かに止めた。
敏江の目は、相変わらず死んだ魚だが、その奥に何か物語るものがあった。

「何すんだブタ!」

権之助がそう叫ぶのとほぼ同時に、影の物凄い声が辺りに響いた。
権之助がそちらに視線を移すと、迅の刺又の先が、がっちりと影の腰を捕え、結界の壁へと追い詰めていた。
あの針を避けて、迅は影の後ろに回り込んだのだ。
権之助は、目を見開いた。

「水沢さん」

「……あぁ!」

敏江の声で我に返った権之助は、矢に霊力を込め、影の頭部目がけて放った。
矢は見事影の頭部に命中し、影はけたたましい悲鳴を上げて消えた。
迅がその場にへたり込むと、三人は駆け寄った。
幼女を避難させた広姿も、急いで戻って来た。

「へへへっ……今回はきちんと自分の身は自分で守ったぜ」

「お前……」

迅は気の抜けた顔で笑う。
権之助は、拳を握り締め、思い切り迅の顔を殴った。

「ちょ……水沢君!?」

「何してんのよ!?」

クリフォードと広姿は慌てて迅を支えた。

「ふざけんな!無茶すんじゃねぇよ!死んだらどうすんだ!」

権之助の怒鳴り声は、静かな夕方の公園に響き渡った。
敏江は、かっこいいだろうと思って権之助が迅に駆け寄るのを止めた自分も悪いと思い、怒る権之助の後ろで小さくなっていた。





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