「あ、瀬名さん。お疲れさまです。引っ越しに必要なもの一気に揃えたらスゴい大荷物になっちゃいました。」


大きなビニル袋を重そうに掲げると、瀬名さんは買い過ぎじゃない?と笑った。


「そっか。今日引っ越しだったんだ?今日から彼と2人暮らしになるんだね。おめでとう。」


「ありがとうございます。あ、でも彼は仕事が忙しいので一緒に暮らせるのは1週間後なんです。」


「そう。相変わらずお互い忙しいんだ。」


私は空いた時間を見つけては自分の荷造りしてたけど、社員2人が一気に辞めたらしいかずくんの会社では毎日のように残業があって帰れるのは夜中。


休日出勤も少しあるみたいで、2人で会う時間さえも以前以上に減ってきた。


「お前、相変わらずだな。そんなすれ違いみたいな生活してんじゃ、いつか男に逃げられんぞ。」


「あ、店長....。」


横から顔を出した店長はずっと私と瀬名さんの話を聞いていたみたい。