落ち着け自分。


確かにかずくんとのことにちゃんとけじめがついてない今、雅斗とこうなることは良くないと思う。


それなのに、今まで雅斗の気持ちを知っていながらもちゃんと答えを出していない自分が、今日こうやって雅斗の存在を受け入れてることにも驚きだ。


「流されたくはない...って思ってたのかも。」


「流されたくない?」


ちょっと落ち着けた自分の思考回路を、ちゃんと雅斗の瞳を見て答える。


「彼と別れるって決めたのだってつい先日のことで、はっきり関係が切れたとも言い難いこの状況は、ちゃんと理解してる。それに加えて、雅斗の気持ちにどうも答えを出してないのに、このまま雅斗に触れ続けたら気持ちが流されちゃいそう。一瞬でも許した私がいけないのは分かってるし、その後でも雅斗のことを嫌だとは全然思ってないのは事実だけど...。」


雅斗のことをちゃんと好きだと言えるかわからない。


そんな気持ちのまま雅斗を受け入れるのは失礼だ。


「わかった。ちゃんとけじめつけて、気持ちが整理つくまで待つ。ただ...」


グイッと背中を引き寄せられて強く抱きしめられた。


「ちゃんと待つけど、今日のことで少し自惚れて待つことになるな。ちいなが好きってゆー気持ちは今でもかわらねーけど、むしろ増して困るぐらいだし。」


「...はい。」


素直に嬉しく思えた言葉だよ。