「店長、すみませんでした。」


「ふざけんな。俺はまだ告ってねーよ。」


くしゃくしゃにされた髪を直してると、店長に睨まれた。


「いや、そうじゃなくて。ずっと私気づけなくて、すみませんでした。店長が自分の気持ち押し殺してたのかなって思ったので。」


睨まれんでた顔からなぜか笑われて、私の目の前には”?”が浮かぶ。


「ククっ、おまえらしいな。でもさっきも言っただろ、気にすんなって。おまえがフリーになるまでは俺も絶対手ださねーよ。」


今まで見たことない優しい眼差しに胸が痛む。


『宣戦布告されたのに戦わない』って例えれば分かるかな?


つまりなんて言えばいいのか分かんない気持ちになったってこと。


いつもと同じように「ほれ、帰んぞ。」って再び歩み始めるから、私も店長の背中を追う。