ラブ&トラップ

スパークリングワインのボトルが空になって、テーブルに並んだお皿にも料理がなくなった頃。


「そろそろ帰るか。」


店員さんに伝票を受け取ったのを見て、私も鞄の中から財布を取り出す。


「半分払います。」


「嫌だって言ってもおまえは聞かないんだよな。」


カラオケでの一件からか、店長は私の気持ちをよく理解してた。


「はい。」


絶対揺るがない気持ちを視線で訴える。


「わかった。細かいのはいらないから、3000円だけでいい。」


私がお金を渡すまでにカードでの支払いを終えた店長は足早に店を出て行く。


「ごちそうさまでした。」とお店に言って店長の後を追う。


「今日も新居に帰るのか?」


前を向いたまま話しかける店長の言葉に、ワンテンポ遅れて返答する。


「あーー、はい。」


「あんま帰りたくないんだったら、実家に帰ればいーじゃねーか。」


「駅の反対なだけで、近いだろ」と付け加えられたけど、その意見もイマイチ聞き入れられない。


だって…


「親に同棲は反対されてたんです。その反対を押し切ってほぼ家出と同じ感じだったので、実家には帰りたくないです。」


「なるほど。」